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なぜ格安SIMは安いか、非公表の品質項目

なぜ格安SIMはMNOの携帯電話サービスより料金が安いかについて。安くなる仕組みや非公表の品質項目や、「帯域卸し」という安くなる仕組み、通信回線の帯域幅という概念など。
企業名NTTドコモTOKAI
サービス名irumoLIBMO
回線提供元NTTドコモ
料金プラン
3GB 2167円 6GB 2827円 9GB 3377円
3GB 980円 8GB 1518円 20GB 1991円 30GB 2728円
割引適用後
3GB 880円 6GB 1540円 9GB 2090円
3GB 760円 8GB 1298円 20GB 1771円 30GB 2508円
通信世代5G4G
制限速度300Kbps200Kbps
TOKAITOKAIコミュニケーションズ
MNOの携帯電話サービスであるirumoの料金は9GBのプランで3377円なのに対し、同じNTTドコモから回線を借用している格安SIMのLIBMOは少し安い2728円で30GBと、容量は3倍以上。容量がほぼ同じの8GBなら1518円と、半分以下の金額。
ちなみに、全割引適用後でもirumoは9GBで2090円、LIBMOは割引無しでも20GBで1991円と、少し安い金額で2倍以上の容量。
このように、容量のみに注目して比較すると、格安SIMはMNOのサービスより遥かに安くて、もはやキャリアを選ぶ価値は無いかのように思える。
ただし、携帯電話サービスの品質には月間データ容量の他に通信速度なども関係している。
ところが、格安SIMでは通信速度に関係する品質項目を非公表にしている企業が多い。
非公表の品質項目
「5G SA」か「5G NSA」か
通信規格の伝送速度(一部の商品では公表)
通信回線の帯域幅
月間データ容量超過後の制限速度(一部の商品で非公表)
「5G SA」か「5G NSA」か
未だMNOは 5G SA の設備をMVNOに貸していないので、5G対応の格安SIMはどれも 5G NSA である。
このほか、オプテージでは 5G SA に向けた課題を指摘。SA(Stand Alone)では、スライシングやMECによる新サービス出現が期待されるが、その独自性を発揮できる「L2接続相当」と呼ばれる仕組みは現時点で実現時期が不透明な状態となっている。
通信規格の伝送速度
企業名NTTドコモIIJ
サービス名docomoIIJmio
回線提供元NTTドコモ
通信世代5G5G
最大受信速度6.6Gbps1288Mbps
最大送信速度1.1Gbps131.3Mbps
IIJインターネット・イニシアティブ・ジャパン
一部の格安SIMで公表されている伝送速度の理論的な最大値は、回線提供元のMNOよりも遥かに遅い。
ちなみに、1288Mbpsと131.3Mbpsという組み合わせは、NTTドコモの4Gサービス「PREMIUM 4G」の2018年時点の伝送速度と同じ。なお、現在の PREMIUM 4G の最大受信速度は1.7Gbpsになっているので、格安SIMは5G対応でもNTTドコモの4Gより遅いことになる。
通信回線の帯域幅
MNOは通信設備自体をMVNOに貸与しているのではなく、通信回線の帯域幅を貸している。よりわかりやすく言うと、通信設備の稼働率を貸している。
通信回線の帯域幅
ある通信回線に複数の端末が接続していて、あたかも同時に通信しているように見えたとしても、実際には順番待ちの時間が発生している。
したがって、複数の端末が同時に通信しようとすると、一台だけで通信した時に比べ、一台あたりの通信速度は下がりうる。
例えば、一台だけで通信した時の最大通信速度が100Mbpsの場合、2台で同時に100Mbitずつデータを通信した場合、2台とも通信を終えるまでに2秒かかるので、1台あたりの通信速度は平均して50Mbpsに下がるだろう。
ただし、通信回線を通るデータの速度は変わらない。
上述の例でも、合計で200Mbitのデータを通信するのに2秒かかるので、通信速度は100Mbpsに等しい。
このような、通信回線側から見たデータの通信速度のことを、通信回線の帯域幅と言う。
昼の12時から13時や、夕方の5時から夜の7時など、通信の需要が多い時間帯は、端末から見た通信速度が大きく下がりやすい。
ところが、その時間帯でもキャリアの携帯電話サービスなら通信速度が少ししか下がらない。一方で、多くの格安SIMでは通信速度が顕著に低下する。
この理由は、MNOから借りた狭い帯域幅を多くの契約者で共用しているから。
ちなみに、どの程度まで下がるかは格安SIMのサービスごとに差が有り、主に帯域幅の費用にかけた金額で変わってくる。
もし、MNOと同じ帯域幅になるまでお金を費やしたなら、サービスの品質はMNOに近づくが、料金も甚だしく高くなってしまう。
つまり、「帯域卸し」という仕組みこそが、格安SIMが安いことの最も大きな理由である。
①第二種卸5Gサービス(帯域幅課金型)・・・当社とMVNO様の接続点における通信帯域幅単位でのご提供
1Mbpsごとに10874円・・・当社ネットワーク接続機能の利用料
※事業者間接続・・・それぞれの事業者が、POI(相互接続点)を責任分界点として、利用者に対し、自らの電気通信設備に係る電気通信役務を提供する方法。
ITmedia ›堂前清隆(IIJ)MVNOが「帯域を借りる」ってどういうこと2015年12月04日
MNOは日本中に携帯電話の基地局を設置しており、・・・中略・・・基地局は光ファイバーなどで他の電話会社やインターネットへと接続されています。
この、インターネットと接続されている箇所で、MNOとMVNOの通信が分離されます。このポイントを「相互接続点」(POI……Point Of Interface)と呼びます。MVNOが「借りている」のは、(インターネット側から見て)POIより手前の区間です。
MVNO利用者の通信は全てPOIを経由するため、ここで制限をかけることでMVNOが使う通信の量を制限することができるのです。
MVNOがMNOから設備を借りる際は、POIを通過することができる通信の量で費用が決まります。例えば、100Mbpsや1Gbpsといった数字で、これは「ある瞬間に一度に流せるデータ量」を示しています。
例えば、ある瞬間に日本中で100人の利用者がそれぞれ1Mbpsの速さで通信を行うと、POIを通過するデータは100Mbpsとなります。この100Mbpsや1Gbpsを指して「MVNOが借りている帯域(幅)」と呼んでいます。
ITmedia ›堂前清隆(IIJ)MVNOが5Gサービスを提供しても高速とは限らないワケ2022年02月14日
現在広く利用されている5G NSA(ノンスタンドアロン)では、基地局自体は前述の通り高速になっているものの、携帯電話網全体を管理するコアネットワークは4Gのままとなっています。
このため、キャリアとMVNOを相互接続するインタフェース(POI)は4Gのまま、端末が4Gで通信しようが5Gで通信しようが、区別されずに同じPOIを通ることになります。
ここで問題になるのが、POIの容量不足と混雑です。・・・中略・・・。回線の容量を超える通信需要があった場合、容量を超えた分の通信が破棄されてしまい、利用者視点では「通信速度が極端に遅い」という体感になります。
・・・中略・・・、いくら端末が5Gで通信できたとしても、POIの容量が不足している状況では結局POIでの速度低下に巻き込まれてしまい、4Gと変わらない通信速度しか出せないということになります。
月間データ容量超過後の制限速度
irumoとLIBMOの比較表が示すように、MVNOの格安SIMはMNOの携帯電話サービスより制限速度が遅いものが一般的。
数値は200Kbpsか128Kbpsが多い。中には非公表にしているものがある。そのような格安SIMの制限速度は128Kbps以下だと考えられる。
ところで、制限速度が遅ければ遅いほど、帯域幅を逼迫せずに済む。ここで、未だ月間データ容量が残っていて高速通信できる契約者の通信速度を安定させるためには、速度制限を厳しくすれば良い。特に、帯域幅が狭ければ狭いほど、また契約者数が多ければ多いほど、制限速度を遅くすることが効果的になる。
つまり、制限速度が非公表の格安SIMは、契約者一人あたりの帯域幅がより狭いと考えられる。