なぜスマートフォンのカメラはコンデジより画質が良いか
イメージセンサの大きさが同じ場合、なぜスマートフォンのカメラはコンパクトデジタルカメラより画質が良いかについて。
ズームレンズに対して単焦点レンズ
レンズの有効口径が大きい
マイクロレンズの配置を単焦点レンズに最適化したイメージセンサ
画像信号プロセッサの性能が高い
ズームレンズに対して単焦点レンズ
ズームレンズよりも単焦点レンズの方が画質が良い。
コンデジのレンズはズームレンズが一般的。しかも、広角24mm相当から30倍というように、超高倍率のものが多い。
ちなみに、ズーム倍率が大きくなればなるほど画質は悪くなっていく。ただし、望遠ズームレンズは画質が悪くなりにくい。
スマホのカメラは単焦点レンズが一般的。ズームレンズを用いたものは極めて例外的。
レンズの有効口径が大きい
レンズの有効口径が小さければ小さいほど、光の回折現象の影響が大きく、画質は悪い。
レンズの有効口径はF値に反比例する。F値が大きくなると有効口径は小さくなる。
コンデジの高倍率ズームレンズのF値は小さくともF3.5くらいの製品が多い。比較的倍率の小さいズームレンズの中には広角端でF1.8の製品もあるが、望遠になるに連れそれより大きくなり、そもそも大口径化と小型化を両立するために他の面で設計上の妥協をしている。
スマホのメインカメラの単焦点レンズはF1.8からF2.0が多く、中にはF1.4の製品もある。
マイクロレンズの配置を単焦点レンズに最適化したイメージセンサ
スマートフォンのカメラはイメージセンサとレンズの二つの部品を一体化したモジュールとして製造されている。コンデジも同様にレンズを交換できないので、イメージセンサとレンズの関係は一体化されているに等しい。
このような場合、マイクロレンズの配置をレンズの光学的な特性に合わせて最適化できる。
ただし、ズームレンズは焦点距離を変えると画素に対する光の入射角も変わりうるので、最適化の効果は限定的となる。
一方で、スマートフォンの単焦点レンズは最大限の効果が得られる。
CMOSイメージセンサーは前述の通り、細かいマイクロレンズがビッシリと配列され、このマイクロレンズを通して受光部(フォトダイオード)に光を届けます。
この時、マイクロレンズとフォトダイオードの配置関係を真っ直ぐにするか、ある程度の角度を設けるかといったことを行い、この時の角度を主光線軸角度と言います。


画像信号プロセッサの性能が高い
画素数が多くなるほど、画像信号の演算処理でプロセッサにかかる負荷は大きくなる。
ところで、動画にはフレームレート(秒間枚数)があるので、画像1枚あたりにかけられる処理の時間は限定されている。つまり、負荷の大きな処理をこなすためには、プロセッサの性能が高くなければならない。
また、プロセッサの負荷が大きくなるほど、消費電力も大きくなる。そこで、電力容量の多い電池が要求される。
スマートフォンのイメージセンサの画素数は4800万画素や5000万画素の製品が多く、中には1億画素を超えるものもある。また、8K動画にリアルタイムで特殊効果をかけながら撮影できる。
電池容量は3.7Vで5000mAhくらいの製品が多い。
一方で、コンデジは最大でも2000万画素ほど。動画は4Kまでしか撮影できない。
電池容量は3.6Vで1240mAhのように、スマートフォンの1/4くらいしかないものが多い。
ちなみに、フルサイズのイメージセンサを内蔵したプロ向けのレンズ交換式カメラの場合、画素数は最多で6100万画素、電池は7.2Vで2280mAhなど。